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知っている、から、理解できた、へ。理解できた、から、できる、へ。ビジネス知識からパフォーマンスへの橋渡し

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従業員アンケートを考えてみる⑧

 前回はお金とモチベーションの話を簡単に解説しました。今回は、お金にまつわる別の話をしてみましょう。

 

 

 おかねは物事を測る単位として使える

 

 お金は物事を測る上でとても便利です。たとえば、正社員の給料(これは会社がこっそりと負担している分まで含めてどう扱うという点で実は難しいのですが)を労働時間によって割って、時給換算すれば、その人が今いくらで時間を売買しているかというレートがわかります。

 

 外食をするような場合でも、手間なのか、味なのかは分かりませんが、その目的に対していくら支払ったかということを換算することができます。

 

 こういう話をすると、直情的で短絡的な人は、全てお金の問題ではない、などと反論しますが、尺度の話をしているだけです。ファイナンスの書籍では、現在価値という尺度で様々な時点のプロジェクトを評価したり、あるいはもう少し別の観点を持ちこんで、評価の仕方を改良(改悪)したりします。意思決定論では、人間は基本的に、期待価値を最大化するという仮定を置いて、分析を進めます。もちろん、それは、一見非現実的な仮定ですが、非現実的だと思うなら仮定を厳しくしたり緩めたりすればよいだけです。仮定を実体視して振り回されるのは非常に頭が悪いことです。

 

比較の手法としてのおかね

 上のように書くと、一見難しそうに見えます。でもけっこう自然な考え方です。たとえば、8時間労働で基本残業はないけれども年収350、と、12時間労働で土日一方出勤で年収600万を、他の条件をそろえることで比較することができます。また、ここに通勤時間や立地や会社のブランドイメージといった条件を加えていっても、いくつかの選択肢の中から良いものと良くないものを評価することができます。どの地点で評価が逆転するか、という観察を行えば、あるオプションの金銭的評価を知ることができます

 

 これは、全然別の次元に本来はあるはずの条件を、比較しているということです。つまり、だいたい同じまな板に載せて、判断ができるということです。近似的に、統一の尺度を用いるとしたら、やはりでしょう。条件の良し悪しは、一体いくらで金銭的に補償されるか、と考えれば、選択肢にかなり順序がつけやすくなります。

 

 

 この点を踏まえれば、たとえば、モノ×カネという切り口を考えることができます。たとえば、インフラがそろっている環境なら、インフラが悪い会社よりも比較的安い給料でも問題ないかもしれません。通勤時間は、人事制度は……様々なモノをいくらくらいの価値があるものなのかと考えてみることで、統一的に評価することができるわけです