従業員アンケートを考えてみる⑤
では、アンケートの質問票に戻って、文面を考えてみましょう。
アンケートの大枠
経営資源ないし企業の構成要素を考えるときに、良く使われるフレームワークは、ヒト・モノ・カネ・情報といったところです。これを活用して、仕事の外側からくるモチベーションを考えてみましょう。
ヒトの問題
まず、ヒトです。職場で人間のことで悩むとしたら、どんなことでしょうか。まず、嫌な上司がいる、嫌な同僚がいる、嫌な後輩がいる時に(特に前二者が)問題になりそうです。
というわけで、
「先輩社員(上司)との関係は良好ですか?」
「同僚との関係は良好ですか?」
「後輩との関係は良好ですか?」
と三つの質問を作ってみます。この質問に、はい・いいえ、で答えるだけでも相当有用な情報が得られそうです。
ただ、関係が良好、という時に、どういう意味合いなのかということは気になります。たとえば、職場は和気あいあいとした雰囲気か、ピリピリした雰囲気なのか、どちらなのでしょうか。そして、厳しい職場でも仕事に対して張り合いが持てる場合と、単に雰囲気が悪いだけのことがありそうです。それを考えると、人間関係についての質問は、雰囲気に関するものと、仕事に関する直結する部分に分かれそうです。
というわけで、
「職場はどちらかといえば和気あいあいとした雰囲気ですか、それともピリピリした雰囲気ですか?」
「職場はどちらかといえば、明るい雰囲気ですか、それとも暗い雰囲気ですか?」
というような質問をして、まず、雰囲気について聞いてみます。
そして、
「職場では、高い質の仕事をしようと努力する雰囲気があると思いますか?」
「職場では、仕事についての情報が円滑にやり取りされていると思いますか?」
「職場に、仕事を教える、人を育てる姿勢があると思いますか?」
なんていう質問を付け加えてみると、情報が豊かになりそうです。たとえば、和気あいあいとした職場で、明るいけれども、緊張感がないだけの職場もあるでしょうし、メリハリのある職場もあるでしょう。厳しいけれども、やりがいのある職場もあるでしょうし、厳しいだけで嫌な職場になっていることもあるでしょう。人×情報ということで、コミュニケーションの問題や教育の問題を絡めて見るのも面白いかもしれません。
アンケート結果を用いた考察
で、ここで、組織に関する様々な知見を混ぜ合わせます。たとえば、作業の性格や仕事の性質から考えて、どういうアンケート結果が望ましいと考えていたか、ということや、あるいは、仕事の生産性はどういう環境において大きくなるのか、ということがあらかじめ仮説としてあれば、アンケート結果を評価することができます。また、どういう状態が望ましいかということについても、あらかじめ目標や理想像を設定することで、ギャップを測ることができます。
この辺をちゃんとしておかないと、アンケートの結果だけ見て、ああでもないこうでもないと言っているだけで生産的な議論ができないことになるでしょう。