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コミュニケーションの精度を上げる手順を考えてみる(バージョン1)

 会社勤めをしていた時に、職場のコミュニケーションが大事だという一見意味がありそうですが、空疎な掛け声が思いつきを超えないレベルで上がりました。そもそもコミュニケーションって何なんだろう、とか、お互いに大事なことって何だろうという話をする前に、ガス抜きレベルの飲み会をやって終わりました。

 

 当然ですが、別に会社には仕事に来ているので、単に仲良くしたいわけではないわけです(少なくとも私は)。そして、私は飲み会があまり好きではなかったので(私以外にも飲みの席が嫌いな人はいらっしゃると思います)そういうコミュニケーションを目的とした飲み会は行くたびにモチベーションが下がりました。

 

 アルコールは緊張をほぐすという役割があって、ほろよい状態で本音トークができるという側面は確かにあるのかもしれません。

 

 しかし、本来、大事な話は素面の状態でするべきだと私は思います。

 

 職場で重要なコミュニケーションは、何よりもまず、経営層のメッセージがちゃんと現場社員に届いているか、ということだと思います。もちろん、部下の側のメッセージを経営層がすくいあげることができているかという面もあります。しかし、重要性から行くと、まずは、曖昧でわけのわからない考え方が飛び交っている職場を何とかすることだと思うのです。

 

 というわけで、ことばの使われ方や意味に統一感を持たせることがかなり大事だと思うので、そのための手順を考えてみましょう。

 

 ここでは、経営幹部(経営企画的な)ポジションの人を想定します。

 

1.     社内で使われていることばを収集する
経営理念、行動指針、経営戦略(中期経営計画)といったフォーマルなことばから、経営陣が普段話している中でよく使っていることばをチョイスする。

2.     簡単なアンケートを実施する(これは外部の人を使った方がいいかも)。
次のようなレベルのアンケートでいいと思います。
取り上げたことばの意味がわかるか?
はい いいえ
共感できるか?
はい いいえ
実際に大切にされているか?
はい いいえ

3.     グループインタビューを実施する(これは外部の人を使った方がいいかも)。
ことばの解釈、イメージについて、共感できるかについて定性的なデータを集める。

4.     第三者に見てもらう
親しい顧客ではなく、自社のことをあまり知らない人にそのことばを見てもらう。理解してもらえないとしたら、仲間内だけ通じる気持ちの悪いことばを使っているかもしれません。

 

 こうした作業を(大掛かりな調査としてではなく)プロトタイプ上がりくらいの小さな調査を繰り返すことで、わかりにくい、共感できないことばを抽出します。この調査活動自体がコミュニケーションの機会なので、大きな手間をかけるより、繰り返すことが重要です。

 では、改善活動ですが、

 

1.     そもそも分かりにくいことばは言い換えてしまう
 通じていないことばが組織にもたらしている便益はゼロかマイナスであると割り切って、捨ててしまうのも手です。
 言い換えの作業をすることによって、ことばの良さが再認識される可能性もある?

2.     解釈の仕方にガイドラインを与える
 要するに、こういう使い方をしていますということを発表します。

3.     会社の他の施策と整合性が取れているかチェックする
 社会貢献する、と言いながら、会社がしていることが真っ黒というような、誠実な人間の頭を壊しそうな状況を改善することも重要です。

 

 仲間内だけで通じることばを振り回しているのが心地よい、というのならそれでもいいですが、現代社会で仕事をしていく上では、ある一つの奇妙なコミュニティの慣習に属していない、外部の人と仕事をする機会も多くなります。コミュニティに染まりきらない従業員も増えるでしょう。そんななかでは、なるべく、多くの人に通じることばづかいをするだけでもコミュニケーションの不具合から起こる問題を避けることができるでしょう。

 

 また、社内で独自のことばの遣い方をしていると、社外の人とコミュニケーションをとるときに思わぬ形で恥をかいていることもあります。そうならないためにも、上記のようなコミュニケーションの交通整理は重要だと私は思っています。