『思考停止ワード44』(博報堂ブランドデザイン著、アスキー 新書)その1
ビジネス書はバカが書き、ありがたがってバカが読むもの―――と思っている人は決して少なくないんじゃないかと私は勘ぐっていますが、世の中には、飲み屋のオヤジギャグのようなセンス丸出しで書かれた本があります。これは、別に書き手がバカというよりは、読み手をバカにして書かれた本ではないかと私は思っています。
【悲報】博報堂ブランドデザイン、読者をバカにする
この『思考停止ワード 44』はまさしく、そういう本ではないでしょうか。もちろん、私自身経験したことがありますが、本を作るのは著者一人ではなく、編集の関わりもあります。編集者がクソダサい装飾をしたことで、コンテンツの見方が変わるということもあるかもしれません。この本については知りません。
さて、この本は、思考停止ワードとしてビジネス書に出てくるようなバズワードを取り上げ、それをテーマに与太話を付け加えるという構成を基調としています。ビジネス書並びにビジネスマンのことばに触れることが多い私としては、この本の題名を見て、少しときめきました。
世の中のビジネスマンのことばを見ていくと、まあ、出てくる出てくる金太郎飴のような、個性もへったくれもない流行語が。この本はきっとそういうことばをスパッと斬ってくれているのだろう―――そう期待して、手に取ってみると、キーワードを取り上げたはいいものの、紙面の少なさに加えて、お茶を濁したような掘り下げで、落胆しました。私のときめきを返してくれ、と言いたいところですよ。いや、ほんとうに。
この本の良いところ、ダメなところ
個別の記事についての吟味は、この本をダシにして書きたいことが少なくないので、別の記事にさせていただきます。根本的なこの本の評価に関して言えば、ビジネスのバズワードを思考停止ワードとして切り出す、までは良いです。このキャッチ―な切り口は見事だと思います。
しかし、個々の記事は紙面の少なさが言い訳にできないほど、薄く、記者の思いつきを適当にまとめた天声人語クラスのコンテンツになっています。思考停止ワードを取り上げたまではよいものの、記事を書いた人間のおつむが思いのほか緩かった、という風味になっています。単に読者をバカにしているだけかもしれませんが、総評としてはこんなところでしょう。電車に乗るときにでもどうでしょうかね?