『思考停止ワード44』(博報堂ブランドデザイン著、アスキー 新書)その4
同書における比較的良い記事とダメな記事を分類してみようと思います。とりあえず、紙面の都合上、「時間がない」までの14キーワードについてです。
①比較的良い記事
「顧客第一」「ゆとり世代」「多様性」「技術力」「品質」「時間がない」
②悪くないけど何か足りない記事
「うちの業界」「景気の踊り場」「効率」「成功例」「差別化」「空気を読め」「自由に」
③単にダメな記事
「成長」
①、③についてはコメントしても仕方がないので、しません。読むと、それなりに考えさせられることはあるはずです。
②について、ちょっとずつコメントします。
「うちの業界」……企業ドメインの定義というよりは、独自性の幻想を批判するべき。
「景気の踊り場」……散漫。反成長論っぽい香りを漂わせて、内容が薄い。どちらかと言うと、ダメ記事に近い。
「効率」……効率化といっても、その方向性が間違っている、という話を薄く展開。もう少し踏み込めよ。
「成功例」……現実問題として、成功例がないと会議が通らないし、初めてのことだから何が何でもやります、では誰も説得できないだろう、ということで着眼点は評価できても、煽っているだけ。
「差別化」……最近のマーケティングの状況が変わってきてますね、という話。キーワードに即した話になっていない。
「空気を読め」……一般論と特殊な状況の雑な混ぜ合わせ。
「自由に」……議論は仕切らないとたくさん意見が出てこないし、意見を促すためには技術も工夫も必要、というだけのことを散漫に論じている。ぼやけている。
全般的に、思考停止を批判している割には、ぼやっとした批判になっている場合が多いのがこの本の特徴になっております。