ホワイトカラーのための業務改善その1
ホワイトカラーも業務改善できる
工場や工程の業務改善は非常に熱心に行われています。その一方で、ホワイトカラーの仕事の効率性や生産性は、私が見る限り、あまり注意を払われていません。私は、ちょっとした工夫を積み重ねることで、仕事内容がかなりすっきりすることがあるのではないかと考えています。
まず、私自身が見かけた例を紹介します。
ケーススタディ:機械ができる仕事は機械に
【事例】
小売店の本部。店舗からの月次決算情報を作成するのが二日がかりの仕事になっていた。原因を追及してみたところ、システムから数字情報を目視確認し、手作業でエクセルフォーマットに転記するという手順で仕事が行われていた。
驚くほど原始的な事例ですが、本当にありました。機械がしている仕事を機械にさせるために、人間を通す、という何だかよくわからない事態です。時間と手間がかかるばかりか、ミスの可能性が増えます。
【解決策】
システム会社に相談したところ、利用しているシステムからcsvで情報を簡単に出力できることがわかり、現状のフォーマットを渡すと、システム会社で自動的に転記する仕組みを作ってくれた。簡単な作業だったので、業務フローとフォーマットだけ書いて渡すと、追加的なコストが発生しなかった。
人手を離れることにより、効率化に加え、ミスを減らす
はい、これだけ。こんな簡単な対応策を行うだけで、店舗の状況をつかむための定量情報資料を作成する手間が1日(~2日)分減りました。この仕事に、一人の正社員がかかりきりだったので、彼の1日分の人件費が別の仕事に割り当てられることになりました。新しく人を雇ったり、解雇したわけではないので、表面的には金銭の出入りが発生していないように見えますが、機会費用としてのコストの削減には成功しています。
さらに、システム上で転記が行われることによって、人に起因するミスが発生しなくなりました。ちょっとした工夫で、品質の向上、低コスト、短納期が実現できたわけです。一見すると、馬鹿馬鹿しい事例に見えるかもしれませんが、同じくらい馬鹿馬鹿しい改善点が社内の眠ったままになっていない、と胸を張って言える人はどれくらいいるんでしょうか。業務改善の余地は案外あると私は思っています。