従業員満足度アンケートについて考えてみる①
アンケート、というと、CS(顧客満足度)、ES(従業員満足度)アンケートが定番です。さて、そのアンケートの分析について、ごくごく原始的なレベルからその仕組みについて考えてみましょう。
従業員満足度って何?
まず、従業員満足度、というのは一体何を調べたいのでしょうか。
アンケートや調査をするときにはこうした問いかけが非常に重要になると思います。なぜなら、「何となく」調査票を作って、「何となく」集計して、「何となく」分析する、というのは社会調査としてはあまりにも頭が悪いからです。
従業員満足度について調べたい、というのは、組織の内部から生じている問題を概観したいという思いからでしょう。仕事の成果に密接にかかわっていると思われる要素は、従業員にやる気があるかということ、そして、従業員と従業員がうまくコミュニケーションできているか、ということ、そして、結果として仕事がうまくいっているか、ということあたりでしょうか。
そこで、従業員満足度についてアンケートを取るなら、
「総合的に、会社に満足していますか」
というところが肝になりそうな気がします。要は、色々あるだろうけれども、どうよ? ということです。
次に、この総合的な満足を分解していきます。満足……要するに、動機付けの問題を取り扱っています。これは、組織論の中でも超古典的な話題ですね。で、割と古典的な枠組みを用いるとすると、
内発的な動機付けと外発的な動機付けに分かれます。
見慣れない言い方かもしれません。こう書くと賢そうに見えますが、見えるだけです。大して賢いことを言っているわけではありません。
動機付けの大分類
外発的な動機付け、というのは要するに、「この会社で働いているのがかっこいい」「合コンでモテる」「給料がいい」といった仕事の外側からくるモチベーションです。それに対して、内発的な動機付け、というのは、「この仕事が面白い」と仕事そのものから得られる満足感です。
伝統的にこの二つからモチベーションを取り扱うことになっています。二種類の動機づけに基づいて、詳細な質問内容を考えていきます。
どうせなら意味のある調査を
基本的なテンプレートに基づいて、従業員満足の調査票を設計するだけ、というのはいかにも芸がない感じです。まさに予算の無駄、やるだけ仕事、官僚的事務作業、といった感じです。こうしたアンケートを実施する以上は、分析者に、動機付け理論にはどういった種類のものがあり、理論的にはどうなっているか、世間的にはどうなっているかということの背景に関する知識を求めたいものです。
調査票を配って集計して分析するだけ、というのはただの力仕事です。ESアンケートをどのようにして組織の問題解決に役立てるか、という点に、調査の本当の目的があります。その理論構築ができないなら、アンケートを取る必要がないでしょう。